日本一のろくろの技術産地を目指す
砥部焼ろくろ教室
現代の名工 酒井芳美氏 工藤省治氏 白潟八洲彦氏
平成22年5月21日、砥部町陶芸創作館(砥部町大南)にて、ろくろ技術の向上や後継者の育成を目的とした「砥部焼ろくろ教室」が開催され、砥部焼従事者や一般見学者ら総勢30名が参加し、現代の名工工藤省治氏、白潟八洲彦氏が講師を務めました。
今回は工藤氏と白潟氏が参加者の前で技を披露。ろくろ技術の昔と今の違いや、手と腕の動かし方や使い方、ポイントなどを解説しながら、ろくろで湯飲みや茶碗、壺などを形作りました。参加者からは多くの質問があり、両氏が丁寧に解説し、その後は座談会が行われ、活発に議論が交わされました。
ろくろ技術に焦点を絞った講習会は、砥部焼界としては初の試みです。今後も毎月開催される予定となっています。
白潟氏
「これだけ多くの方にお集まりいただき大変嬉しく思っています。昔は数多く並ぶ窯に熟練の職人から若手まで一緒になって作りあげる中で、技を教え、学ぶ環境でしたが、現在では小型のガス窯の普及など設備が良くなる中で、個人もしくは少人数で窯を開く時代となり、他の職人の技を見る機会がないのが現状です。そこで、既にプロとして活動している職人たちを対象に、互いに技を見せ合い、意見やアイデア、疑問に感じていることなどを自由に話し合える場を提供できればと考え、さらにはろくろ技術のレベルアップを目指し、この度のろくろ教室を開講することとなりました。個人的に砥部は全国でトップクラスのろくろ技術を持っていると考えていますが、このろくろ教室を通じて、皆さんと一緒になって、ろくろの醍醐味や楽しさを味わいながら、更なるレベルアップに取り組みたいと考えています。」
工藤氏
「ろくろをして50年になりますが、日々勉強であり、また楽しいものです。長年砥部は、日本一のろくろ技術産地を目指してきましたが、今後もさらに上を目指し、我々の役割である人々の生活に役立つより良い砥部焼を送り出すことを追求するためにも、皆で本当に質の良い作品をつくりあげるろくろ師、また焼き物の産地を目指します。」
今後講師として参加を予定している酒井氏
「参加者の皆さんは既にレベルの高い技術を持っている方々です。そういった人がお互いに技を見せ合い、教え合ったりすることによる技術向上と、交流を目的としています。我々としましても、教えるという立場ではなく同じ目線で互いに切磋琢磨しながら、いまの技術力をさらに高め、今後の砥部焼界全体の技術力を高めるきっかけになればと考えています。」
<写真>
写真1:白潟八洲彦氏
写真2:工藤省治氏
写真3:手の使い方を解説する工藤氏
写真4:全員の活発な意見交換
表 平成21年度前期までの陶磁器製造職種の技能士数について
検定職種 |
作業 |
1級 |
2級 |
合計 |
陶磁器製造 |
手ろくろ成形 |
17 |
18 |
35 |
絵付け |
27 |
54 |
81 |
愛媛マイスターなど県内熟練技能者が高等学校や業界団体からの依頼により技術講習会や講演、ものづくり教室等、技能普及のための様々な活動をしています。
詳しくは、当協会までお気軽にお問い合わせください。 |