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熟練技能者から若者達へ
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小澤 義子 氏 オザワ ヨシコ
小澤 義子 氏

フラワー装飾師


[Profile]
昭和16年8月17日生まれ

おざわフラワーデザイン教室・フローラルサロン
住所:松山市小栗6丁目7-29
電話:089-945-0861

フラワーデザインに出会い、以後フラワーデザイン一筋に研鑽を積み、講師として活躍している。


昭和59年 一級技能士資格取得(フラワー装飾)
   〃   愛媛県知事賞 技能検定優秀技能者
平成17年 職業訓練指導員免許(フラワー装飾科)
平成20年 愛媛県技能士会長表彰 優秀技能者
平成22年 愛媛マイスター認定


 フラワーデザインを研鑽し続け、公益社団法人日本フラワーデザイナー協会の講師資格取得後、名誉本部講師を務め、また1級技能士資格を取得し、愛媛県フラワー技能士会副会長として、数多くの後進の育成の指導にあたってこられました。フラワーデザインに対する思いは強く、これまで頻繁に本場ヨーロッパで研修を受け、ドイツではフラワーデザイナー故ポール・ベゲナー氏とウズラ・ベゲナー氏に師事し、洗練されたフラワーデザインを学ばれ、自然の素晴らしさやお花の癒しをテーマに、永年にわたりフラワー装飾業界に貢献しています。


フラワーデザインの魅力を広めたい

小澤さんは、昭和51年に垣本温代氏のカルチャースクールにてフラワーデザインに出会いました。その楽しさや魅力を感じ、もっと深く勉強したいとフラワーデザインを学び始めました。

「小学生の頃、床の間に母が生けた美しい花をよく見ていて、中でも水仙やキンセンカなど心に残っています。その頃からお花や自然が素晴らしいと感じていました。結婚後子育ても一段落し、何か趣味でできるものはないかと探していたところ、垣本先生が講師を務めておられたカルチャースクールでフラワーデザインに出会い、すぐにその魅力に引かれました。将来は指導者として活動する夢を持ち、習い始めました。」

 

習い始めた当初については。

「まずはどのようにデザインすれば、魅力的で美しくなるだろうと想像することや、納得するものができれば『やった、思い描いたものをデザインできた!』と、清々しい気持ちになり、達成感を得られることが本当に楽しく、夢中になって学んでいました。」

 

フラワー装飾をしているときはどのようなことを考えているのでしょうか。

「とにかく無心で向かっています。技術的なことを言いますと、例えば花嫁さんが持つブーケでしたら、その方の雰囲気や体型、似合う色を考え、お花を選びます。ご依頼いただいた方やテーマに合わせるとともに、フラワーデザイナー自身の個性も活かします。お花選びと色合わせで全てが決まると言っても過言でないぐらい大切です。」

 

現在は、ご自宅やフジカルチャースクールのフラワーデザイン教室での講師として、ご活躍されています。

「長い方では20年以上のお付き合いをさせていただいている生徒さんもいます。これまで若い方からご年配の方まで本当に数多くの生徒さんと出会えたことに感謝しています。最近の生徒さんは、お花がお好きでご家庭にお花を飾りたいというご希望をもたれた方が多いです。いまのトレンドは、より少ないお花でどれだけ人を引きつけられるかということがポイントとなるシンプルモダンと呼ばれるデザインです。」

(写真上:おざわフラワーデザイン教室・フローラルサロン(松山市小栗)、
その他の写真:小澤さんのフラワーデザイン作品)


生徒さんや家族に感謝

昭和60年にご自宅でおざわフラワーデザイン教室・フローラルサロンを開講、公益社団法人日本フラワーデザイナー協会の講師として、多いときには週に100名以上の生徒さんに指導され、東京や大阪など県外でも指導をするなどして技術レベルの向上に取り組んでこられています。また、技能検定委員も務め、技能士の誕生、育成にも尽力されてこられました。

「何よりも人と触れ合うことが好きでしたので、講師としてやっていこうという気持になりました。若い方からご年配の方々まで、本当に多くの方に習いに来ていただきました。それぞれの方がそれぞれ素晴らしい個性をお持ちですので、その個性や良さを引き出し、目標に合わせて指導することが講師としての役割です。」

これまでには、全てが順調がだったわけではありません。

「例えば講習会等で、私の持つ能力や知識などがまだまだ未熟なため、その内容をあまり理解することができずに、とても悔しい思いをしたこともあります。それでも、もっと学びたい、技術を向上させたいとの一心で、挫けることなく学び続けることができました。」

講師として永年ご活躍されてこられていますが、良かったことはどのようなことでしょうか。

「講義を終え帰宅されるときに、生徒さんが笑顔になっていただければ言うことはありません。また、生徒さんのご家族の方にもお花に興味を持っていただければ本当に幸いです。技術的なことももちろんですが、何より楽しんでいただくことが一番です。そして、生徒さんが私をここまで育ててくれたんです。」

主婦という立場もあり、ご家族のご協力も欠かせなかったそうです。

「県外や海外の研修会に行くには、費用も掛かりますし、その間家を空けなければなりません。主人や子供の協力なくしては、ここまで来ることはできなかったと思います。家族には本当に感謝しています。」

(写真:フジカルチャースクール「フラワーアート」のレッスン風景、プリザーブドフラワーを使った「母の日のプレゼント用アレンジメント」)


ベゲナー夫妻との出会いを通じて、本当に大切なことを学ぶ

フラワーデザインを学び始めて以来、持ち前の向上心で東京都など県外で開催された講習会にも積極的に参加。日本のフラワーデザイン界の巨匠故池田孝二氏が、小澤さんの熱心に学ぶ姿勢を買い、当時、(社)日本フラワーデザイナー協会(現在、公益社団法人)フラワーデザイナー会員7万名中の25名に選抜されドイツ研修に行くなど、頻繁にヨーロッパへも学びに行かれます。そこで運命的な出会いをします。

「故ポール・ベゲナー、ウズラ・ベゲナー夫妻に出会いました。彼らの人柄とお花や自然に対する考え方を学ぶと同時に、穏やかな人柄やスケールの大きさに感銘を受けました。」

ベゲナー夫妻のもとでフラワーデザインを学び、そこでの指導が現在の指導者としての考え方や大切なことを学んだそうです。

「本当に目から鱗という感じで、フラワーデザインに対する考え方が一変しました。一番大切なことは、理論や技術よりも、人間性であったり常に自然体であるということです。いままでの自分の考え方がどれだけ小さなことだったんだろうと思いました。また、メンバーの中には、当時から現在も勉強をさせていただているにしいたかこ先生(著名なフラワーデザイナー)にも出会うなど、本当に出会いに恵まれました。その出会いがいまの私に活かされています。」

フラワーデザインに携わり30年以上、いまでもどん欲に学ぶ姿勢は変わりません。日常の生活においても常に頭の片隅にはフラワーデザインのことを考え、数多くある美しい花材や花器を選ぶことや、デザインを考えることは飽きることがないと言います。

「学び始めた当初は、お花を自分の思うようにしようという気持ちが強かったと思います。ポール夫妻に出会ってからは、フラワーデザインに大切なのは、課題やテーマ等に沿ったお花や色を選ぶことはもちろんですが、それよりも気持ちが大切です。気持ちを落ち着かせ自然体で、素直で優しい気持ちでお花に触れれば、お花の方から自然と自分に寄ってきて、どうすればよいか教えてくれます。もし、迷いがあるのならそうやってお花に聞いてみることです。そして、いつも世界に通用するデザインを、生徒さんに指導できるよう心掛けています。」

(写真上:小澤氏とポール夫妻、写真下:ヨーロッパデザインの基本フラワーデザイン)


若手技能者、若者へのメッセージ

最近の若者たちに対しては、どのような印象をお持ちですか。

「私が育った時代とは大きく違い、若い方の興味の対象が本当に多くなっていて、特に携帯電話やテレビ番組、ゲーム等にすごく興味が集中しています。しかし、それは当然のことですし、学校で学ばれていく中でご自身が将来やってみたいこと、どのようなことで社会に貢献していきたいのかを、時間をかけて考えてほしいと思います。その中でもし少しでもお花に関心があるのでしたら、まずはご両親やご友人の方々と一緒になって、お花や植物の種を蒔いて、芽が出て葉ができて、お花が咲いていくという経験をしてほしいです。そして、フラワーデザイナーは、素晴らしい職業だと思います。」

近年、若者がものづくりから離れていることが言われていますが、小澤さんのお考えをお聞かせください。

「生活が豊かになるにつれて、ご家庭や地域等で、ものをつくる体験をすることが少なくなり、その楽しさを経験しないままに過ごされたことが原因かもしれません。昔は何でもまずは作ろうということでしたが、いまは買えば何でもあります。ただ、幼い頃からものづくりの経験をすれば、ものづくりの素晴らしさや楽しさを実感し、ものに対する考え方がより深くなると思いますので、フラワーデザイン教室や愛媛マイスターの活動を通じて、少しでもお伝えできればと考えています。」

若手技能者や若者にメッセージをお願いいたします。

「人生で何度もつまずくことがあると思いますが、そんな時には是非自然を眺めてください。必ず花や木々、鳥などが癒してくれるはずです。春なら桜や菜の花、夏なら月や星を、秋なら紅葉、冬なら雪山や樹氷などなど。何かご自身の中で解決策や答えが見つかると思います。また、ご家族やご友人、職場の同僚の方々、先輩、上司の方など身近な人と仲良くしていただきたいです。人間関係というのは複雑かも知れませんが、相手をよく知り、許すという気持ちと、自分が我慢や辛抱ができれば、より良い関係を築くことができると思います。」

今後の目標を教えてください。

「これからもどん欲に学ぶ姿勢を失わず、お花や自然と触れ合い、ファッション誌や絵画などを観るなど、他分野のことから刺激を受けつつ、フラワーデザインを追求していきたいです。そして多くの方に出会い、触れ合いながら、お花の良さや自然の素晴らしさ、デザインのことを教えて行ければと考えています。いままで本当に多くの素晴らしい生徒さんに出会うことができました。その生徒さん全員に感謝するとともに、一生フラワーデザイナーとして活動することで少しでも恩返しできればと思います。また、愛媛県のフラワーデザイナーの更なるレベルアップに取り組んでいきたいです。」

(写真:平成20年度職業能力開発促進大会出展作品)


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