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熟練技能者から若者達へ
 県内の熟練技能者とものづくり現場の紹介

熟練技能者の紹介  熟練技能者が活躍する現場とは
● 取材編 〜熟練技能者は熱く語る〜 ● ものづくり工場の紹介
● 紹介編 〜熟練技能者の紹介〜  


  

  旋盤技能の現場編 〜精密部品の機械加工〜

宮内 修次 氏 入江工研株式会社

 住所 愛媛県喜多郡内子町川中1910
 電話 0893-45-0311
 URL http://www.ikc.co.jp/
 

 
ミヤウチ  シュウジ
宮内 修次 氏

製造グループ 内子製造


(昭和24年3月生) 61歳


取得資格
1級技能士資格(機械加工職種 普通旋盤作業)
1級技能士資格(機械加工職種 ボール盤作業)


プロフィール
精密工具製造会社を経て、昭和57年に入江工研株式会社に入社しました。永年汎用、NC旋盤やボール盤で機械部品の加工業務に従事し、その豊富な知識や経験を活かして、治工具の考案や、新素材の切削条件の選定など、会社の精密加工全体をまとめるとともに、多様な機械設備の導入、設置、運転なども担当しています。また社内若手技術者や県内高校でのものづくり教室で高校生や教員に積極的に技術指導を行うなど、技能の継承に大きく貢献し、平成19年高度熟練技能者として認定されました。


機械加工一筋40年

今回は内子町の入江工研株式会社内子工場の技術者を代表して、宮内修次さんにお話を伺いました。宮内さんは学校を卒業後、精密工具製造会社に就職し、汎用旋盤や研磨機などを使った部品加工業務に従事しました。

「特別器用だったわけではありません。社内全ての治工具の製造や機械の修理を行う設備部門に配属され、多様な機械を使う機会に恵まれたおかげで技術や知識など色んなことが身につきました。今から考えてみても先輩方は本当に器用でした。先輩方の技を盗み、分からないことがあれば聞いて教えてもらいました。私はバイトを研ぐことに一番苦労しました。上手く研げなくて、本当に何回も研いだものです。最初の会社での17年間で、様々な機械加工技術を習得し、知識も幅広くなりました。」

当時社内には誰もいなかった一級技能士資格に挑戦し、見事取得されます。優秀な成績を修めたことから愛媛県知事表彰を受賞されました。

「知人に受けてみろと言われて課題図面を渡してもらい、それから必死になって勉強しました。周りには資格を取得した人はいなかったので、教えてくれる人は誰もいません。本当に難しかったです。休日に一人で会社の機械を借りて図面通りにできるよう何度も練習し、学科も毎日昼休みや家に帰ってから勉強しました。その結果資格を取得でき、もの凄く達成感がありました。この経験からものづくりに生涯を捧げたいと思うようになりました。」

昭和57年に入江工研株式会社に入社後も、技能を研鑽し続け、機械加工業務を行う工作班の中心として永年ご活躍してこられています。

(写真:入江工研株式会社)


旋盤加工技術のポイントと技能継承への取り組み

宮内さんは、真空機械機器関連のステンレス綱(板材、薄肉製材パイプ)の旋盤加工を最も得意としています。また、機械設備にも精通しており内子工場の設立や各種機械設備の導入、設置等にも大きく貢献されています。

普段、技術力の向上のため心がけていることはどのようなことでしょうか。

「何事にも積極的に取り組んできましたが、できないのではなく、必ずできるという意志のもと挑戦することが大切です。また、常に向上心を持って業務に従事してきました。」

数年前には国家プロジェクトであった世界最先端の研究施設の建設にあたり、チタニウム材の溶接歪みを伴う困難な機械加工に宮内さんが中心となって取り組み、見事極めて精度の高い製品を製作することに成功し、高い評価を受けられました。

「我が社は他社では、なかなかできない、これまでにないような機械部品の製作が強みです。技術者として、新しいものや難しいものに挑戦し、完成させることは本当に満足感があり、幸せなことです。これからもそういったものの製作に挑戦していきたいです。」

新しいものを製作するとき、どのようなことが大切でしょうか。

「こだわりを持つことです。依頼いただいた図面も、それが必ずしも正しいとは限りません。支障のない範囲内で、改善余地はないだろうかという意識を常に持って仕事をすると本当に楽しくなります。作業に従事する人は、図面が正しいとかこれ以上のものはないと思いがちですが、我が社は一つの固まりである素材を削って、一つ一つを溶接して組立てていますので、この部品がどういう風に組立てられるかとか、それが持つ機能などを深く考えながら、ここは少し変えてみようとか、常に考えながら取り組むことが大切です。とても難しいことですが、そのように我が社の技術者に指導しています。」

社員の技能士資格など関連資格の取得に取り組んで技術力向上を図っており、宮内さんは社内技術者を指導しています。また、高度熟練技能者として県内高校へものづくり教室の講師として、旋盤の技術指導に積極的に取り組んでいます。

「資格を取得できた生徒さんが誕生することはとても嬉しいことです。この道でやっていくのなら、これからも技を磨き、習得した技術に誇りを持って、社会で活躍してほしいです。また、先生方にも技能士資格取得に熱心な方がいまして、見事一級技能士資格取得された方もいます。そういった先生方が、生徒に指導するということも、本当に素晴らしいことです。」

(写真上:旋盤業務をする宮内さん、写真中:多くのの技能士が生まれています、写真下:県立八幡浜工業高校のものづくり教室で指導をする宮内さん)


若手技能者、若者へのメッセージ

若手技能者、若者へメッセージをお願いします。

「技術を身につけることは、教えてもらってできるものではありません。自分が実際やってみて、何回も試行錯誤して、それからノウハウをつかんで身につくようになります。何の職業でも同じですが、年々世の中の多くのものが成長し、進化していく中で、これでいいということはありません。日々向上心を持って、成長していくことが大切です。私も一生満足することはないでしょう。」

ものづくりの大切さや、技能の素晴らしさを伝えるには、どうしたら良いと思いますか。

「企業内での技能の伝承と、高校生にものづくり教室などで指導することです。今後も私のできる限り、社内の技術者はもちろん、学生さんにものづくりの指導ができれば本当に幸せなことです。」


今回取材にご協力していただいた宮内さんは取材が苦手らしいのですが、インタビューや現場の説明、資料の作成などをしていただくなど、非常に丁寧に取材に応じていただきました。入江工研株式会社の経営理念「小さな世界企業を目指す」の通り、内子町から世界へと大きく飛躍する高度な技術力が集積した精密な部品が、宮内さん達優れた技術者の皆さんによって生み出されている現場を見学させていただきました。また会社として資格取得や技能の継承にとても活発に取り組まれており、優秀な技術者が育つ環境が整っておりました。この様な環境の下、今後も宮内さんのような卓越した技術者が生まれていくとともに、入江工研株式会社から世界へと精密な機械部品が製造されていくことと感じました。
若輩が生意気ではありますが、県内全ての企業が、同社の様に会社と従業員が一体となって積極的に技能の向上に取り組めば、愛媛のものづくり産業は、さらに素晴らしいものになると思いました。


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