座右の銘は温故知新
塗装業界一筋50年以上、愛媛マイスター影浦義雄さんにお話を伺いました。学校卒業後、家業である塗装業に入職しました。修業時代について教えてください。
「跡継ぎになることを意識しながら修行に励み、県内外本当に数多くの現場で働いていました。若い頃は誰もが競争心があり、私自身ももともと負けず嫌いで、人よりもひとはけでも多く塗りたいと考え、お互いが切磋琢磨していました。塗装と言えばはけ塗りばかりだったのですが、たまたまある建物ではけではない新しい道具を使って仕上げた櫛目文様を入れて凹凸になった塗装面に、塗装の面白さや可能性を感じました。また、昔から他の業者さんがあまり手がけない家具等の塗替や吹付工事にも積極的に挑戦していました。」
技術・技能を向上させるために、普段から心掛けてこられたことを教えてください。
「道具やものを大切にし、整理整頓を心掛けてきました。また年々、塗料の種類がもの凄く増えています。その塗料が一体何からできいるのかという成分について理解していれば、自分が求める色をつくるときに応用が利きます。そして、新しい建物や塗料があるなら、それを自分の目でしっかりと確かめることも大切です。」
この仕事のやりがいや魅力について教えてください。
「人間は完璧なものをつくりあげることは無理かも知れません。ただ、私たち職人が知識や技術等持っているものをすべて発揮して、一生懸命仕上げたものに対し、お客様から以前より綺麗になったとか、思った以上のものができあがったと納得していただいて引き渡すことができれば、職人冥利に尽きます。ものをつくりあげた人間にしかわからない本当に嬉しい気持ちです。」
若手技能者にメッセージをお願いします。
「技術は基本が大切です。同じことを何回も繰り返して学ばないといけないこともありますが、辛抱して修行に励んでほしいと思います。この業界もコンピュータ機器で仕事をすることも多くなりましたが、いまの若者は、幼い頃からコンピュータや機械に触れて育っているので、上達も早いです。ただ、先人が築き上げてきた技や知識等も身につけて、最新の材料や技術に対応していくことも大切だと思います。そして、是非道具やものを大切にしてほしいですね。」
今後の目標についてお聞かせください。
「いまこの歳になっても、仕事を続けられることに満足感があり、周りに感謝しています。今後も後進の育成に尽力します。」
(写真1:有限会社影浦塗装工業(砥部工場)、写真2:施工例 古民具塗装、写真3:地元学生を対象とした職場体験教室の様子 ものづくりの大切さを伝えています、写真4:社員の亀井さんは第22回全国塗装技能競技大会(社団法人 日本塗装工業会主催)新人の部 部門賞で入賞されました)
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